初恋は青臭くてちょうどいい

こんばんは、きゅうり野郎です。いやー暑い!なんだこれってくらい暑い!私の地域は本日最高36℃。そりゃあ喉も渇けば頭の皿も乾きますわい。仕事の帰りはコンビニに寄ってサクレを買うのが最近の唯一の癒しです。……侘しい!でも、そんな侘しい干からびきゅうり野郎にも、瑞々しく青臭い(青臭いのは今もだった)時代が遠い昔にありました。今回は、恥を忍んでそんな昔話をば。

 

 

時に19XX年、中学二年生の頃のお話です。当時の私はとにかく人見知りの勘違い野郎でございまして、進級してクラス替えになった始業式当日の教室で、完全に浮き足だっておりました。一年生の時に仲の良かった友達とは見事に離れ、自分の学年だけでも40人はいるバスケ部の仲間とも全く一緒にならず、このクラス編成を考えたであろう教師陣に割りとガチめな呪詛を唱えたいと思ってました。

 

そんな私は自分からは話し掛けないスタンス(厳密に言えば話しかけられない)を貫かんとばかりに、賑わう教室の中で独り本を読んでいました。今でもその本を覚えています。空想科学読本第二版。大人になった今も尚、ちゃんと本棚にもあります。うーん、本のチョイスがひどい!(笑)しかし、どれだけ活字を追っていても、中々頭には入ってきません。考えているのは本の中の「仮面ライダーが変身するには現実的に考えるとこれくらいの電力が必要だ」とか、「ウルトラマンが着地したら大津波が起こる」なんてことではなく、(あー頼む、優しい男子よ、俺に声を掛けてくれ、俺、人見知りだけど仲良くなるとめっちゃ喋るタイプなんだよ!)ってことばかりでした。他力本願この上ないですね、青臭いどころか萎びたきゅうり野郎ですよ。

 

そんな時でした。

 

?「ねぇねぇ何読んでるの?」

 

明らかに私に向けられた声に(むしろ他にも私と同じように本を読んで独りっきりの人がいたらますますクラス編成の出来を疑うところだったでしょう)驚きつつ、しかし平静を装った風にちらりと目を活字から声のした方へ向けると、そこに立っていたのは、後に友人となるサッカー部の、イケイケ盛り上げ系キャラの彼でもなく、後に友人になるサッカー部の、時代を先取りしたシュール系超絶イケメンでもなく、後に友人になるサッカー部の、勉強も出来るが冗談も通じる、でも負けず嫌いな彼でもなく、(みんなサッカー部じゃねぇか!って感じですが、異様にサッカー部が固まってました、彼等の他にもまだいます、その人たちとも友達になりました。みんな良い奴らだった)髪が肩につかないくらいに切り揃えられた、ショートヘアーの女の子でした。

 

お、女かよ!と気付くと同時に、当時思春期真っ盛りで女の子を(悪い方向に)バリッバリに意識していた私は反射的に本に目を戻し、こともあろうに、せっかく声を掛けてくれた彼女の質問に対して、冷たくこう宣うのでした。

 

「何読んでるのって、本だけど?」

 

……アウトです、完全にアウトです。こいつは何を勘違いすればこういう態度を取るんでしょうか。いくら女の子に免疫が無さすぎたとはいえ、この人としてあるまじき態度と厨二病っぷり。これは本当に今でも反省する、私きゅうり野郎のダメダメランキング上位にランクインする致命的な恥です。しかし、そこは萎びたきゅうり野郎、まさかこれだけでは終わりません。

 

女の子「へ、へぇ、そうなんだ、なんていう本なの?」

 

萎びたきゅうり野郎(……スッと本の背表紙を女の子に向ける、その間一言も発せず。)

 

ツーアウト。

 

女の子「…ふ、ふーん、その本、面白いの?」

 

どぐされくそきゅうり「つまんなかったら読んでないよ」

 

はいスリーアウト。完全にゲームセット。こうして字面で見てみると、改めてただの最低でクソッタレな人間ですね…。タイムマシーンがあったら一番最初にやり直すのはこの場面でしょう。いくら反省してもし足りない、私の純度100%の恥部です。

 

さすがにとりつく島のない私に(むしろスリーアウトまでよくとってくれた。普通ならワンアウト目で没収試合だ)、苦笑いを浮かべながら、「そ、そっか、なんか邪魔してごめんね、これからよろしくね!」と言って、最後まで礼儀正しく女の子はその場を去り、私の席の斜め後ろに座り、近くの女の子と話を始めました。私は心の中でごめんなさいを連呼することしかできないチキン野郎でした。きゅうり野郎ですらありませんでした。

 

しばらくするとホームルームがはじまり、新クラスらしく、そして中学生らしく自己紹介カードの作成が開始されました。名前、入ってる部活、趣味やら誕生日やらを記入したら教室の横の壁に席順の並びで貼っていきます。

 

そうして出来上がった自己紹介カードを、担任の先生の話をぼんやり聞きながら眺めていくと、一枚の自己紹介カードに目が止まりました。

 

(あ、これ順番的にさっき話し掛けてくれた子のやつだ。へぇ、Kさんって言うのか。さっきは本当に悪いことしたな……。)

 

そう思いながら、Kさんの席の方へチラリと目を向けた時でした。

 

雷が6発は落ちた 

 

それくらいの衝撃でした。端的にいって、Kさんはその辺には滅多にいないような、飛びっきり可愛い女の子だったからです。少女漫画かよってくらい大きくキラッキラした目がとにかく素敵な女の子でした。ここまで読めば皆様もお気づきでしょう、何とも調子の良いきゅうり野郎は、Kさんに一目惚れをしてしまったのです。そして、この初恋は中学を卒業するまで続くことになるのですが、それはまた次回のお話に……。

 

……いやーきゅうり野郎本当に最低だな!ただの嫌な奴だな!そう思われる方が大多数でしょう。不快になられた方、申し訳ございません。しかし、本当に最低だった私を成長させてくれたのは、Kちゃんはもちろん、クラスや部活の友達や数少ない私が恩師と呼ぶ先生の存在でした。次回以降、少しでもその辺を掘り下げて赤裸々エピソードをお送りしたいと思います!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!熱中症対策をお忘れなく、明日も元気に頑張りましょう!